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日本キリスト教団 新松戸幸谷教会

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コラムcolumn

学びの窓

2017/12  人生はままならない

 お腹が空けば食べ物を食べる、喉が渇けば水を飲む、人間は足りないものを補給することによって生命を維持出来るし、生活がしやすくなります。

 先日、自転車に乗っていてペダルを一生懸命踏むのですが重くスピ−ドも出ません。それでもペダルを踏みました。たまたまダイエ−の入り口に自転車屋さんがあり、空気入れがありましたので、早速タイヤに空気を入れました。乗ったのですが、走りが軽くなり、スピ−ドも出るようになりました。
 イヤイヤ随分変わるものだと実感し、あらためてタイヤに必要な空気を入れることの大切さを知りました。自動車も必要な空気圧を保つことが言われていて、ガソリンを入れるたびに空気圧を測ってもらいます。自動車の場合、タイヤに空気を入れたことでの走りよさは、あまり感じませんが、自転車の場合は直ぐ分かりました。

 われわれの人生もスイスイと心地よく走るようにはいきません。心地よく走っているように見えても、すぐに人生上の問題に遭遇し、倒れたり、転んだりします。その意味で人生は自分が計画したとおりにはいきません。悩んだり、苦しんだりしながら生きていかなくてはならないのです。

 ある人が「だれしもが、あとで振り返って、あの苦しみを通らないでよかったと聞き直されたら、みんな、いや通ってよかったというであろう」と言っています。苦しみの最中にいる時は「何で自分がこのように苦しみ、悩まなければならないのか」と思い、早くこの苦しみ悩みから解放されたい、抜け出たいと思います。われわれの人生、苦しみや悩みがないほうがいいに決まっています。気持ちよく生きたい、楽して生きたいと思うのです。
 しかし現実は、そうはいきません。人生の課題が次から次へと襲ってくる、時にはその重荷に耐えかね自暴自棄になったりもしますし、不平不満、愚痴をいったりもします。そのようなことがありながら自分自身の人生を振り返ってみると「あの時の苦しみ悩みがあってよかった、あれがあったから今の自分がある」、そのように思うようになるのです。

 ある本に八木重吉の詩が書いてあるのを読みました。それは「苦しみのさなかいると 苦しみはもうなくなって ただ生きるということだけだった」というものです。八木が言うように苦しみ悩みの最中はつらいですが、しかし、その中で生きていると感じなくなる、と言うことはあります。もちろん解決したわけではありません。問題は持ち続けいていますが、それに抵抗する力がどこからともなく出てくるのです。

 刺繍を編んでいる人を見たことがあります。布に幾つかのカラ−の糸で縫い込んで一枚の絵にします。出来あがった刺繍を見ますと複雑であればあるほど美しく見えます。わたしは刺繍を編んだ経験はありませんが、見ていることで感じたことは根気のいる作業だということを思いました。その刺繍の裏面は表の絵が複雑であればあるほど裏面の糸は複雑に絡み合っています。
 われわれの人生も刺繍と同じで表向きは涼しい顔をしていても裏面としての心は複雑なのです。でも、その複雑さが今をどう生きるかをかたどっているのです。そのために自転車の話ではありませんが、人生を生き抜くための空気を入れなければなりません。その空気こそが神様の言葉、イエス・キリストの言葉です。そのために聖書があり、また礼拝があるのです。礼拝に出席するということは、新しい一週間を生きる「糧」をいただくためにあるのです。それで「ままならぬ人生」を生きることが出来るのです。

 新松戸幸谷教会牧師 吉田好里


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