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日本キリスト教団 新松戸幸谷教会

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コラムcolumn

人生の扉

2015/11 無駄な時間

 先日、所用があって出かけました。行きは新幹線を利用しましたが、次の日は予定がなかったので在来線の各駅停車に乗りました。郡山から水郡線で水戸まで来て、常磐線に乗り換えて新松戸まで帰ってきました。

 水郡線は聞いたことはあっても乗車したことはありません。時刻表で調べたら水戸と郡山間は一日に数本、乗車時間は約3時間、それに常磐線の1時間半を加えて約4時間半でした。

 水郡線の沿線はほとんどが無人駅で、乗り降りも、そう多くはなく、水戸まで乗ったのはわたし一人でした。まさにロ−カル線ですが、どこか「のどかさ」を感じました。それに黄金色に色づいた稲田は絨毯のようで、その美しさに感動し、何枚も写真を撮りました。

 新幹線でサッと帰って来るよりも、コトコトと走る列車、車窓から見える風景、乗り降りする人を見ながらの乗車時間は、普段早さに慣れきっている者にとって、一服の清涼剤でもありました。


 わたしたちの生活は飛行機、新幹線、電車、自動車を利用し、さらには生活ではパソコンや便利な電気器具に囲まれています。
 しかし、そこにどれだけのゆとりがあるのかは疑問です。スピ−ドを求める生活よりは、時に各駅停車のような生活があってもよいのではないか、水郡線に乗り、沿線の風景を見ながら、そう思いました。

 サンテグジュペリの本に「星の王子さま」があります。王子さまが「人間はね、急行列車で走り回っているけれども、何をさがしているか自分でもわかっていない。ただ忙しそうにぐるぐる回るばかりなのさ・・・無駄な苦労だよ」と言っています。

 「そうだ」と思いました。確かに、忙しそうに動き回っています。忙しく動くことが生きている証拠のように思ってもいます。
 しかし、そこに何が残っているのか。成果という結果は残せますが、次の日は、またそれに追われます。結局「何をさがしているのかわからない」、それが現実のようです。

 わたしたちの人生に、各駅停車の列車の窓から何も考えないで車窓から風景を見ているような「無駄な時間」があってもいいのではないか。

 「星の王子さま」に「大事なことは目では見えない」とあります。どう生きるかは目では見えません。無駄と思われる時間の中で見えるのです。

 新松戸幸谷教会牧師 吉田好里


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