コラムcolumn
学びの窓
| 2016/08 | ダビデの音楽の才能と琴 |
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| 前回の｢聖書における楽器｣で｢イスラエルの王ダビデは竪琴の名手でした。サムエル記上１６章２３節に『神の霊がサウルを襲うたびに、ダビデが傍らで竪琴を奏でると、サウルの心は安まって気分が良くなり、悪霊は彼を離れた』とあります。 『良い』はヘブライ語ではト−ブですが、この意味はサウロはダビデが弾く竪琴の演奏を聴いて心安らかになり、気持ち的にリラックスした、そのようなことです。人をして、このように人の気持ちをト−ブにさせるということは、それだけダビデは竪琴が上手だったのです。」、さらに「歴代誌上１３章８節に「『ダビデはすべてのイスラエル人は、神の御前で力を込めて、歌をうたい、竪琴、琴、太鼓、シンバル、ラッパを奏でた』とあります。サムエル記下６章５節に『ダビデとイスラエルの家は皆、主の御前で､糸杉の楽器、竪琴、琴、太鼓、鈴、シンバルを奏でた』とあります。」と書きました。 ダビデは音楽に秀でていたことが分かります。誰に習ったのかはわかりません。アモス書６章５節に「竪琴の音に合わせ歌に興じ、ダビデのように楽器を考え出す」とあります。新改訳聖書は「彼らは十絃の琴の音に合わせて即興の歌を作り、ダビデのように新しい楽器を考え出す」と訳しています。ここで「即興の歌」とありますが、ヘブライ語大辞典には「即座に作る、即興の歌を作る(歌う)」とあります。新改訳聖書の方がヘブライ語聖書に近いことがわかります。ダビデは即興で演奏し、歌を歌ったのです。 また「ダビデのように楽器を考え出す」とありますが、「考え出す」は「計画する，工夫する」という意味があります。新しい楽器を作ることを計画し、工夫した、ということです。こう見てきますとダビデは音楽と言うことではもって生まれた才能があった、別な表現で言えば「天才」ということになります。イスラエルは、このような王様によって支配されていたのです。ダビデがイスラエルを支配していた時には音楽が盛んであったのではないか、そのように考えることが出来ます。 「聖書における楽器」で記しましたように筆者は数年前より生田流の琴を習っています。その理由については触れませんが、ある年になり習ってみたいという思いが出てきました。習う以前から分かっていたことですが、自分は音楽的な才能は全くない、音も取れないし、楽譜も読めない、歌も下手、このようなことを毎回の稽古の度に知らされています。 キリスト教には音楽がつきものです。毎回の礼拝で必ず讃美歌を歌います。音楽のことがよく分からないで、よく「牧師が務まってきた」と思うことでしょう。わたしの場合は「覚える」ということをしてきました。それと、教会には音楽が大切だ、と思い続けてきました。音楽の出来る人に関わってもらい、その人から教えてもらう、そのことに努力してきました。 琴は先程も記しましたように上達も、上手にもなっていません。毎回々、先生より厳しく指導されています。それでも続けているのはそれは「好きかな」という思いがあるからです。 諺に「好きこそ物の上手なれ」とあります。意味は「好きなればこそ、飽きずに努力するから、遂にその道の上手となる」と広辞苑にありました。なかなか練習が出来ず、十分に努力しているとはいえません。何時「その道の上手になる」のかも分かりません。今のところ「遂にその道の上手となる」ことなく終わってしまことでしょう。 自分の才能のなさを思い、ダビデをうらやましく思いながら、いつまで続くか分かりません。ある日突然「やめた」と放り投げてしまうこともあり得ます。それでも習っていく、ダビデを目標にするのは恐れ多いし、もちろんダビデのようにもなるわけもありません。人の前で弾くことはしませんが、自分一人で練習曲を練習し、琴による讃美歌の楽譜があるのかどうか分かりませんが、もしあれば歌いながら弾いてみたい、そのような夢をもっています。 それとわたしのもっている琴のことですが、ある牧師からいただいたものです。ある席で何の話から忘れましたが、琴を習っていることを言った時に，その牧師は即在に「家に３０年間琴を置いたままにしてある。連れ合いの母親が小さい時から習っていたもので、それをあげる」と言いました。それまでは先生から借りていた琴で練習していましたが、それをいただくことにしました。 この琴は少なくとも８０年前以上に遡ります。いただいた時に驚いたことは「琴柱」を動かしながらひいたのでしょう。その部分が大きく削れられていたのです。練習をたくさんしたという歴史を実感しました。その琴で練習するたびに、かっての持ち主のことを思い出し、我が身の不甲斐なさを痛感しています。  |
| 新松戸幸谷教会牧師 吉田好里 |
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